自分の足で生きるという決断をして、今はすごく心地いい!

被災地気仙沼を盛り上げたい!「底上げYouth」を立ち上げた高校生、阿部愛里さん

(2014年5月掲載)

連載第3回 受験勉強も、仕事も、底上げYouthも。やりたいことをやるっ

大学に行く決断をしたら、道が開けた

—お母さんは大学に行くのを反対してたよね。どうやってお母さんを説得したの?

 

そう、それよ、本当にそれ!(笑)

奨学金を借りることさえも、母から駄目って言われた。だから、とにかく給付型のものを調べて「これ絶対取れるから!絶対がんばるから!取れなかったら行かないから!大丈夫、絶対取るから!お願いします。お願いします。ほんと、お願いします!」って押しでいったら「じゃあ、やれるだけやってみなさい」ってことになった。本当に良かった。大学のことを教えてくれる人が東京の方がたくさんいるから、4月からは気仙沼から出ようって決めていたの。

 

「お金は言い訳にならない」ってことを教えてくれた人から、声をかけていただいて、その方の会社で働くことになったんだ。12月の決断から1か月もしないうちに、働く先も決まっちゃたんだよね。その会社ではコンサルティングを始めとして、webマーケティングなどもをやっていて、実は気仙沼ともつながっているんです。私はそんな仕事をしながら、気仙沼と東京を行き来しながら、受験勉強もします。

 

—すっごい展開だね!小説を読んでいるみたいな気分になっちゃった(笑)。でも、仕事と受験勉強の両立ってめちゃくちゃ大変だよね。

 

でも、この2つの両立が私にとって大学に行くための条件なの! もう何が何でも、時には死ぬ気でやるしかない。

 

もっともっと気仙沼の人々を巻き込んで、面白いことしたい!

取材にわざわざ遊びにきてくれた底上げYouthのメンバーたち
取材にわざわざ遊びにきてくれた底上げYouthのメンバーたち

—みなさんは、高校を卒業した後も底上げYouthの活動は続けていくんですか?

 

小野寺真希さん:(阿部さんの同級生)

はい、底上げYouthは続けます。いま恋人ツアーをやろうとしてますけど、高校生ができないところを、大学生がやって、お互いにカバーしていきます。他のこともやっていきたいと思っています。

 

小野寺真希さん
小野寺真希さん

阿部さん:

底上げYouthの仲間と一緒に、まだまだ面白いことをしたいんだ!それが良い感じに転がって、気仙沼に雇用の場を作れたら、と思ってます。私たちはどんどん大人になっていくけど、私たちが面白い、新しいことをやっていくをの見た子どもたちが、「あー!こんなこともできるんだ!そういう生き方もありなんだ!」ってなって欲しいかな。

 

面白いことをやっていれば、仲間は集まってくるから。私たちと同じ代の人で、今は何もやっていない人も、「なんか面白いことやってる。私もやらせて!」って感じでどんどん巻き込めていけたらいいなーって思ってます。はい!(笑)

 

自分で決断しないのは、自分の足で立っているような心地がしない

—最後に、この記事を読んでいる人に、阿部さんが今最も伝えたいものを教えてください。

 

私、高校の福祉科に通って、基本的に介護福祉を勉強しているのね。友達の中には、「介護やりたくないなー」って言いながらも、流れで就職先を決める子もいる。そういう子に「愛里はいいなー」って言われたんだけど、「じゃあ、今なら就職しないってことも出来るし、内定蹴るってことも出来るのに」と思っちゃったんだよね。自分の人生なのに、自分で決断しないのは、自分の足で立っているような心地がしないんじゃないかなって思う。なんかそれがすごく悔しい。

 

ギャップイヤーとか、かっこいいこと言ってるけど、言い換えれば浪人。いろんな先生に呼び出されては「お前の考えは甘い」って言われまくったし、親ともいっぱいケンカした。でも仕方ない、それは大人の仕事だから。でも、決断してみて思ったのは、こうと決めたら、意外と大人の人たちは理解してくれるってこと。私はもうめちゃくちゃ悩んだうえで「これだあ!」っていう生き方をしはじめたから、今はすごく心地いい。

 

だから、みんなにも流されないで欲しい。せっかく生まれて来たんだから、自分の頭で考えていこうよ!!!っていうことを伝えたい。もっと、もっと、自分のやりたいことをやっていい。だってやりたいことをやっても良い、許される世界があるんだから!絶対出来るはずだから、進路じゃなくて今後の生き方を考えてほしいな。

 

★底上げYouthのFacebookはこちらから

取材を終えて

行動を起こしたら何かしら物語が始まる

阿部愛里さんの話を伺っている最中に、何度も考えたものがありました。「自分の人生を生きる」とはどういうことなのか?という問いです。

 

阿部さんは大学に進学したいという願いを何度も親から取り下げられ、底上げYouthの設立の際には、友達から断られもしました。

 

正直、彼女は諦めてしまうことともできました。諦めるということも、立派な選択肢の一つです。しかし、彼女は現在もなお、活動を続けています。「自分の人生なのに、自分で決断しないのは、自分の足で立っているような心地がしないんじゃないかな」と言います。

 

周りに反対されながらも、自分の意思で活動を「続ける」ことを彼女は選びました。活動を「続ける」という時間的な長さがあったから、彼女を支援してくれる人が現れ、彼女は自分の人生を堂々と歩んでいるのだと思います。

 

阿部さんに影響を受けたので、僕も手始めに、久しぶりにピアノを久しぶりに練習することにします。「下手くそだから」と勝手に自分を卑下して、遠ざけていました。出来ない理由を自分ででっち上げて、勝手に諦めているなんて馬鹿らしいですよね。行動を起こしたら、反対してくれる人、応援してくれる人が出て来て、なにかしら物語が始まるはずです。「うるさい!」と怒号が飛んでくるまでは、とりあえず音を鳴らしてみます!

 

以上、まことでした。

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