(2014年5月掲載)
—底上げYouthでは気仙沼のツアーも企画しているんだよね。例えば、どんなツアー?
「あの人とどこに行こう。悩んでいるあなたへ」をキャッチフレーズにやっていて、コンテンツも思い入れを持って考えてます。場所に来るツアーはいろいろあると思うんだけど、人に会いに来るツアーっていうのはあまりないから、私たちはそれを目指していこうって思っています。
どういう旅かっていうと、「人との縁を結ぶ旅」。恋人同士で来て、恋人との縁を深めるっていう意味もあるんだけど、それだけじゃなくて、地元の人との縁を結ぶという意味もあるんです。せっかく来ても気仙沼の人と交流できずに帰っちゃう人が結構いると思うので、私たちがそこを手伝って、地元の方々との縁を結ぶ。おぢゃっこ飲み(お茶を飲むこと)をしてお話をするとか!
もう一つは地元のお世話になった方のことや、そこで感じたことをラブレターにする。恋人にあげるラブレターじゃなくて、地元の方や気仙沼という土地にラブレターを書いてみる。それを短歌でやるから、ラブレ短歌(笑)っていうのを企画しています。それに、気仙沼の郷土料理を一緒に作るのも考えています。「あざら」っていう郷土料理をアレンジした料理を一緒に作って食べる。そう、おぢゃっこ飲みながら。
一人とか友達とじゃなくて、恋人っていう大切な人と来て、地元の人と縁を結んで、二人で「また来ようね」みたいな感じになるホットなツアーをしたいなーって。私たちにできる範囲で、最高のものを作り上げたいなーという想いがあります。
—阿部さんは底上げYouthはどんな場にしていきたいの?
高校生がやりたいことをやれる場所を目指しています。ただ、これは私の欲というか妄想なんだよね。どんどんメンバーが増えていって欲しい。けど正直、後輩達の好きなようにすればいい(笑)。
「夢が語れる、夢を真剣に語れる場がここ」って思っています。ルールを決めてはないんだけど、話し合いで人の意見を否定しない空間だから、みんなが仲良く集まって、夢を話したり妄想したり。だから居心地が良くてYouthの活動以外でもメンバーが集まって、自分の夢を語ったり妄想会を開いたりしています(笑)。
—阿部さんは高校を卒業した後はどうするの?
これからは1年ギャップイヤーを取って、東京で働きながら大学進学を目指します。
ここまでハンパ無く悩んだけどね。皆が進路を決定し始めるときに、私はゼロから悩み始めたの。ずっとプロの太鼓奏者になろうと思っていて、親もそう思ってた。プロの太鼓奏者になって何がしたかったっていうと、太鼓を使った国際協力。中1でベトナムに行った時に、ベトナム戦争の枯葉剤の影響を受けた子どもたちと会って、太鼓で交流をしたの。当時13歳の自分が、そういったバックグランドを持った子たちを楽しませることが出来たのがすっごく嬉しくて、それからずっと国際協力したいっていう夢をずっと持っていた。
でも、震災が起きて、自分の地元が「被災地」って呼ばれている。自分にも地元にもいろんな問題がある。「自分の地元も良くできないのに、世界を良くしようなんて出来る訳ないだろ!」って思って、これから自分の納得いく形になるまで、10年、20年30年かけてでも「気仙沼や日本のために頑張る!」と腹をくくりました。そのためには、知識が必要だから大学に行きたいなって思ったけど、今まで私も親も準備してこなくて。大学に行きたいことを親に伝えたら、「だめだね。お金払えません」って。そこで一回折れちゃって。じゃあ、やっぱり太鼓やるか…ってことになったんだ。
それが一変したのが、突然お父さんが亡くなってしまったから。お父さんが50歳位だったから、「人生あっという間じゃん」って思った。なんて言うんだろう、死を自分のこととしても考えるようになって、いつ死ぬのか考えたら、本当に私これでいいのかな、納得いかないことをやりたくないなって思ったの。その辺りから、進路についてまた真剣に悩み始めた。自分は、本当は何をやりたいんだろうって。
—道が開けたきっかけがあったりしたの?
ずーっと悩んでいて、大学に行きたいけど、行けない。高校を卒業してただ働きたくない。だからって、太鼓もやりたくない。答えがなくて、どうしようもなかった。そうしたら、2013年の12月に、ある方から悩みだとか、進路のことだとか、自由に話してみろって言われた。「私、大学に行きたいけど、今、こういう状況で」って悩みを話したら、「僕は、自分は大学に育てられたって思っているから、大学をすすめる。お金は何とかなる。自分の気持ち次第で、本当に何とでもなる」って言われました。
その言葉で、私はお金を言い訳にして大学はダメと決めつけて、やりたいことを諦めていたことに気が付いた。「お金は言い訳にならない。やっぱり大学に行こう」って思った。
底上げYouthのフードチームが扱うのがこの「あざら」。メヌケという魚のあらと白菜の古漬けを酒粕と共にトロ火で煮込んだもので、メンバーいわく、「めっちゃくっちゃ臭い」らしい!
「親が作んなかったら、子供は食べない」郷土料理なので、Youthメンバーでも食べたことがない人がいた。そこで、あざらを好きになる入り口を提案するため、底上げYouthは「あざら会」を開いている。地域のお婆ちゃんたちに作り方を教えてもらいながら、あざら餃子、あざらグラタン、あざらチャウダー(!)などに挑戦し、気仙沼を食から盛り上げていこうと奮闘中。
写真はフードチームが(実験して)作った「あざらドリア」です。
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