(2014年4月取材)
校内活動や行事などでみんなをリードする生徒会のメンバーは、文字通り生徒のリーダーとして頼りがいのある存在! でもそんな彼らには、悩みがあるのです。
まずは、生徒会への関心の低さ! 「広報誌が読んでもらえない!」「会長以外知られていない!」。それと、良くも悪くも偏見! 「成績が良くないといけないというイメージを持たれる!」「先生からは模範になれと言われる!」
そんな悩みを共有し、より良い生徒会活動、そして、より良い学校にしたい!という思いが、学校・地域の枠を超えて一つになりました。
「生徒会大会2013」の記事でも紹介した第2回全国高校生徒会大会が、4月2日~4日の3日間東京で開催されました。今回は、全国27都府県・71校から179人が集まりました。大会の目標は、全国の生徒会役員が直接交流することで、一人ひとりの能力向上を図るとともに、より良い生徒会運営や学校生活の改善をはかること。3日間の大会では、生徒会活動についての熱い議論を中心として、そのほか、交流会や東京都内のグループ散策、フォトコンテストなど、交流を深めるイベントも行われました。
会場の衆議院第一議員会館は、国会議事堂の向かい側、隣は総理大臣官邸というすごいロケーション。館内は天井が高くて、さすがにいかめしい雰囲気です。館内の写真撮影は厳禁で、カメラを持ち歩いていると警備員の方になにげにチェックされます(なので、残念ですが会議室内の写真しかありません)。
大会は3日間。
1日目……グループディスカッション、公約作成、プレゼンテーション準備
2日目……公約発表(プレゼンテーション)、模擬選挙、表彰 、OB・OGとの交流会
3日目……参加者交流イベント
大会のメインイベントは、生徒会活動が抱える問題点についての、グループ=Partyでの「ディスカッション」と、そこで話し合った結果を「公約」にまとめて選挙演説として発表する「模擬選挙」です。
1日目は、参加者は15の「Party」に分かれ、「行事」「外務」「内務」「組織運営」「社会貢献」の5つのテーマ(※詳細)のいずれか(1つのテーマにつき3Party)ついて、一般生徒にも納得してもらえる、これぞ! という解決案を「公約」として練り上げます。ホントに実現できるとかできないとかいうことは、ここではとりあえず深くは追及しません。
2日目は、Partyごとに選挙演説(プレゼン)を行い、参加者全員による投票で、最優秀賞と各テーマから1つずつの優秀賞、そして生徒会OBで今は起業している方や大学教員など、3人の審査員がそれぞれ選ぶ審査員特別賞を選出します。
各Partyのメンバーは、学校や学年がかぶらないように分けられているのでほとんどが初対面。でも、生徒会という同じフィールドで頑張っている人同士、すぐに打ち解けて活発なディスカッションが始まりました。ディスカッションの様子は、U-streamでも中継されました。
1日目のディスカッションは17時半まで。その後、翌日10時半からの模擬選挙に向けて、各Partyで公約のブラッシュアップとプレゼンの練習です。プレゼンは、公約の内容が何のために・どのような活動をするのか、ということを具体的に説明しなければならず、2日目はほとんど練習時間が取れないまま本番なので、準備は相当たいへんだったみたいです(ほとんど徹夜だったとか、旅館ではシャワーを浴びて着替えただけの人もいたとかいう、非公式情報も聞こえてきました…)。
プレゼンの持ち時間は7分。どのPartyもスピーチだけでなく、パワポの図表やコント、一発芸まで繰り出して、まじめなテーマをわかりやすく・笑いを取りながら紹介しているのはさすがです。さっきまで相当眠そうだった人も、ひとたびプレゼンが始まるとシャキッとなるのは、生徒会役員の本能?!
5つのテーマに共通していた問題点は、「生徒の関心の低さをどうやって高めるか」。だから、どのPartyの公約も、いかに生徒が主体的に関わるようになるかが考えられていました。<優秀賞>はこちら↓
■組織運営:Party12 「Johnsons」
「生徒会の中で『マジメ』と『親しみやすさ』の役割分担をするとともに、会長と各役員、役員同士、生徒と生徒会の対話を大事にした『車輪構造の生徒会』を作り出そう」と提案。
■行事:Party5 「いろはす」
「文化祭などの行事のやり方を、説明会などを実施して細かいノウハウや反省点をきちんと伝え、生徒皆が楽しむ雰囲気や学校への愛着を高める」。
■社会貢献:Party8 「やる気スイッチ」
「生徒一人ひとりの趣味やアイデアが生かせるイベントや行事の企画の企画を募集し、社会貢献に対する生徒のやる気スイッチを押す」。
■内務:Party14「ナイムナイム」 内務部門の優秀賞に加え、審査員特別賞も受賞
「生徒会役員に、生徒会費から1人1万円の報酬を支給する」
報酬が発生するので、選ぶ側の生徒は真剣に候補者を選ぶようになり、生徒会活動にも関心を持つようになります。一方、選ばれる側は常に緊張感と責任を持って仕事にあたるようになります。これらの相乗効果で、生徒が文化祭や体育祭、ボランティアなどにも積極的に参加するようになり、学校全体が活性化します。
一方で、お金目的の候補者を抑止するために、不信任の手続きを簡略化する、選挙そのものをスピードアップするなどの改革も同時に行います。生徒会役員に報酬を出している学校はどこにもないと思いますが、労働への対価を学ぶ機会にもなるとともに、今まで生徒会活動に関心を持たなかった人を引き込む方策になると考えられます。
■外務: Party1「闘う生徒会」 外務部門の優秀賞に加え、最優秀賞も受賞
「New School Changing Curriculum」~日常を非日常に変え、生徒に提供する
外務の仕事は学校間の交流による「出会い」の場作りですが、実際は生徒会周辺だけが盛り上がっていたりして、学校全体を巻き込んだ交流にはなっていません。そこで、提案するのは「日常を非日常に変えて、生徒に提供する」プロジェクトです。
具体的には、いくつかの学校が組んで生徒をシャッフルし、違う学校の授業を受けてみるのです。授業には、学校紹介やディスカッションなどお互いを知りあう時間の他に、国語や英語など普通の教科、さらにキリスト教の学校の宗教の時間や工業高校の専門科目など、その学校の特色のある授業も含めます。他校を経験することで自分の学校を見直す機会にもなり、他校との交流も盛んになるようにしたいと考えています。
全国高校生徒会大会は、高校生の自主組織「全国高校生徒会大会実行委員会」が主催しました。勉強や自分の学校の生徒会活動に忙しい中、実行委員のメンバーはSNSを駆使して全国の仲間と連絡を取り合い、準備を進めてきました。関西では、広報部長の川島君を中心に、「High School Radio!!(ハイラジ)」というラジオ番組も放送し、PRにつとめました。
Q1. 第2回の実行委員長として、菅野君がこの大会でいちばんやりたかったこと、実現できましたか?
何といっても、参加者の皆さんに楽しんでもらいたい。生徒会活動へのモチベーションを高めてもらいたい、と思っていました。そのために、参加者がもっとも交流しやすく、また議論し合えるような最適な環境を提供したかったです。参加者の方の感想を見るに、完璧に達成できたのではないかなと満足しています。
Q2. 菅野君は、昨年の生徒会大会にも参加していますね。その経験を、自分の学校の生徒会活動に活かせましたか?
僕の海城高校は比較的生徒会活動が活発なので、具体的に他校を参考にできたことはあまりありませんでしたが、自分自身のモチベーション、他校にはこんなに頑張っている友達がいるんだ!という励みにつながったと思います。
Q3.準備から当日の運営まで、実行委員長として心がけたことは?
まず、こうしたイベントにありがちな運営のミスを減らし、参加者が純粋に大会を楽しめるように心がけました。たとえば参加者への事前連絡がしっかりしないとか、問い合わせにすぐ答えないとか、当日の時間管理がうまくいかないとか、実行委員の統率が取れていないとか。1年間の準備期間があったので、できる限り準備は完璧にしたつもりです。
また、前回大会の実行委員でもあったので、今回の実行委員にも最高の充実感・達成感を得て帰ってもらいたいなと思っていました。仕事を振り分けてしっかり指示を出す、どんどん任せる、というのを意識していました。
Q4. 来年初めて生徒会大会に参加しようと思っている人達に、一言メッセージを
全国高校生徒会大会は僕の人生を変えました。あなたの人生もきっと変わります!
生徒会活動、頑張ってください!
Q1.加藤君は第1回の生徒会大会から参加していますが、そのきっかけは?去年と今年の気持ちの変化・進化は?
生徒会長の任期を半分終えた頃、内務活動の限界を感じて、他校の活動から何かヒントを得られないかという思いから自主的に調べて、関西の生徒会連盟に参加したことが全ての始まりです。そこで全国規模の生徒会交流の場があるという話を耳にして、すぐさま参加を決めました。第2回大会の実行委員長に就任してからは、1回目の新鮮な気持ちやチャレンジ精神が薄れて、運営側として保守的な心持ちになってしまっていたことは否めません。反省点でもあります。しかし同時に、「自分の」学校をよりよくしたいという思いから、「全国の」学校をよりよくしたいという思いに変わり、視野や価値観が広がったことは大きな進化だったのではないかと思います。
Q2.加藤君自身が生徒会役員として抱えていた問題は?
生徒会と生徒、または生徒会と先生との間に距離感が感じられるという、どこも抱えている問題は、僕の学校でも例外ではありませんでした。西大和学園では、そもそも「生徒と先生」との距離が深刻でした。生徒会がいくら頑張っても、生徒への信頼が薄いので、制度改革をすることが容易ではありませんでした。なので、定期的に校内放送を使いマナー向上への演説をしたり、新たに風紀委員を設立したりしました。結果的にサブバッグの自由化という功績を残せたのが幸いでした。
Q3.準備から当日の運営まで、実行委員長として心がけたことは?
基本的に菅野が言ってくれた通りです(笑)。付け加えるとすれば、ほぼSNS上でのやり取りだったので、誤解やすれ違いが起きないように文には気を遣いました。中には一度も会った事がない実行委員もいたのに、皆自分の言うことをきちんと聞いて仕事をしてくれたのは、本当に良かったです。
Q4.来年初めて生徒会大会に参加しようと思っている人達に、一言メッセージを
迷っているのなら絶対に参加するべき!行って得することしかありません。毎年進化してゆく大会なので、是非楽しみにしていてください。 あ、あと生徒会役員以外の方も大歓迎ですよっ!
全国高校生徒会大会のHPはこちら
「公約」のプレゼン資料もこのサイトにあります。生徒会活動のヒントに役立ててください。
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※テーマ
[行事]
文化祭・学芸祭・体育祭などの、行事の規模・内容・公開範囲・自由度などを考え、さらに「理想の学校行事」を多角的な視点から議論する。
[外務]
学校間交流は生徒会の大きな仕事の一つだが、問題点も多い。「交流はどのように進めていくべきか」を議論する。
[内務]=校内業務
「生徒の生徒会に対する認知度の低さ」という大きな問題を抱え、生徒への広報活動や毎年の選挙、生徒の利益実現など、どのような行内業務を行えばよいかを議論する。
[組織運営]
生徒会はいわば生徒を代表するリーダーであり、また生徒会の中にもリーダーがいる。いかにリーダーシップをとって運営すべきなのかを議論する。
[社会貢献]
地域と学校をつなぐ役目として、多くの学校で募金などのボランティア活動は生徒会が行っている。しかしマンネリ化も…。高校生だからこそできる地域との関わり合い方を議論する。