高校生×仲間
(2013年1月取材)
公益財団法人AFS日本協会の交換留学プログラムで、2012年4月から約1年間、日本人の家庭にホームステイしながら、日本の高校に通学した4人。帰国をひかえた1月、この1年を振り返って、日本の高校生に話してもらいました。(インタビュー:2013年1月25日 )
【出席者】
[AFS留学生]
アズ
【出身:タイ、留学先: 都内私立男子高校、楽しかったこと: サッカー部に入部したこと】
ジーンアン
【出身:マレーシア、留学先:都内私立女子高校、楽しかったこと: ホストファミリーといろんな所に遊びに行ったこと】
アレックス
【出身:カナダ、留学先:都立の国際高校、楽しかったこと: プリクラを撮ったこと】
グスタフ
【出身:スウェーデン、留学先: 国立大学附属の中等教育学校、楽しかったこと: 文化祭に参加したり、部活動に入部したこと】
[日本の高校生]
みき 都立高校3年生
「自分が知らない国(東南アジアなど)に行って、語学や文化を学びたい」
りさ 都内私立高校
「イギリスやオーストラリアでホームステイをしたい」
なぎさ 都立高校
「ビジネスで有名な国(マレーシアなど)に行って、世界のビジネスを学びたい」
Q1.1年間日本の高校で勉強して、自分の国の高校と比べて日本の高校の授業はどのように感じましたか?
アズ:
僕が入学した学校は男子校だったから、殆どの人は授業中寝ていたり、しゃべっていたりしていたなぁ…。先生は、そういう生徒がいても気にせず授業を続けていたよ。タイの学校も寝ている人は多かったけどね(笑)。
グスタフ:
日本の学生はあまり自分の意見を出さないよね。先生が「何か質問はありますか?」って聞いても、みんな、“シーーーン”ってね。
一同:
(笑)
みき:
何でだろうね? 皆、授業に興味がないからなのかな?
りさ:
眠い…とか?
なぎさ:
日本は島国で、昔はほとんど外国と交流する機会がなかったから、相手に対して発言する積極性がなくなっちゃったんじゃないかな? それが恥ずかしがり屋につながった、みたいな?
アレックス:
歴史の授業で、先生はちゃんと話しているのに、クラスの子は聞いていないから「そんなのあった?」って言ってて、びっくりした。カナダの学生は日本と違って、質問することが当たり前なの。学校の試験の成績次第で大学の合否が決まっちゃうから、授業中で分からないことがあったら、その場で質問して、授業の内容をちゃんと理解しなきゃダメなの。だから、カナダの学生は質問することが恥ずかしいことだとは思わないわ。
グスタフ:
スウェーデンの学生は塾に行ったりしないから、学校の授業が分からないと後になって困るんだ。だから、授業中に質問することは大事なんだよ。
アレックス:
学校の後に勉強なんてしたくないしね
一同:
(笑)
ジーンアン:
ちなみに、日本の高校生の3人は塾に通っている?
りさ:
私は通ってないです。
みき:
私も。
なぎさ:
私もで。多分、ウチの高校は、部活やアルバイトで忙しいんじゃないかな?
みき:
4人の国の学校はアルバイトはOKなの?
アズ・ジーンアン・アレックス・グスタフ:
OKだよ。
なぎさ:
みんなどんなアルバイトしていたの?
グスタフ:
僕は喫茶店のバイトと、学校の改修工事の手伝いをしていたよ。
ジーンアン:
私はお父さんの会社でコンピュータ作業のお手伝いをしていたわ。でも、ちょっとつまらなかったな。
アレックス:
私もお父さんの会社でお手伝いしていたわ。紙の資料をスキャナーで電子データにして、コンピュータに入れる作業をしていたの。
なぎさ:
時給は日本円にするといくらくらいだった?
ジーンアン:
100円くらいだったかな。
みき・りさ・なぎさ:
安っ!?
アレックス:
私は1000円くらいもらっていたわ。
グスタフ:
僕は喫茶店では600円、工事の手伝いでは1200円くらいもらっていたよ。
りさ:
話は戻るけど、ジーンアンとアズの通ってる日本の高校の授業はどんな感じなの?
ジーンアン:
先生が話しているとき、みんなはおしゃべりしているんだけど、先生はあんまり気にしてない、かな。
アレックス:
私のクラスのみんなも授業中にしゃべっているんだけど、集中して授業を受けていないと、時々先生の話が聞こえなくなるから困るんだよね…。
みき:
みんなの国の学校は授業態度が悪いとどうなるの?
ジーンアン:
私の学校だと、先生は「外に出ろ!」って言うわ。親も呼び出されるし。
アレックス:
カナダの学校もそんな感じかな。
アズ:
タイでも、遅刻したり、授業中寝ていたりすると減点されて、何度もやると親に連絡れちゃうよ。それに、タイの僕の学校の先生はチョークを投げてくるよ。シュッッッ!て感じで。
一同:
ええっ(笑)!?
グスタフ:
日本の学校には、授業態度が悪い生徒をしかる先生もいるけど、先生によってはみんな静かになったり、逆にかえって笑ったりするんだよね。
アズ:
それって、その先生に対しての尊敬度の違いとか、かな?
グスタフ:
要は先生によりけりだよね。
一同:
(笑)
Q2.好きな日本食、気に入った日本食は何?
グスタフ:
僕は寿司が好きだなぁ。新鮮な感じが大好き!
アレックス:
寿司は美味しいよね。
グスタフ:
僕の国では生魚を食べる習慣があるから、好きなんだと思うな。
みき:
納豆はどう?食べられる?
グスタフ:
ナットウ…(苦笑)。
アレックス:
納豆は嫌いだなぁ。
りさ:
何で嫌いなの?
アレックス:
味が嫌!アレは食べられないわ!
アズ:
初めて食べたときは結構変な味がしたけど、最近は慣れてきて、食べられるようになったよ。大変だったけどね。
りさ:
大変な思いをしてまで食べなくてもいいのに…。
アズ:
あ、でも、手巻き寿司の納豆は中身が見えないから普通に食べられるよ。自分で混ぜて食べる納豆はダメだけどね(笑)。すき焼きは大好きだった。
アレックス:
納豆が見えないなら、多分私も食べられるかも。私はラーメン、餃子、焼きそばが好き。広島で食べた広島焼きもおいしかった。
ジーンアン:
私はおせんべいが好き。マレーシアにもおせんべいを売っているけど、味が全然違うわ。
なぎさ:
話は変わるけど、日本の食事マナーで驚いたことってある?
アレックス:
“いただきます”と“ご馳走様”って言うことかな。フランス語にはそういう言葉はないから・・・
アズ:
英語でもないよね。
ジーンアン:
マレーシアにはあるよ。だけど、みんなが同時に言うんじゃなくて、年上の人から順番に言っていくの。
グスタフ:
スウェーデンにもあるよ。ただ、“いただきます”や“ごちそうさま“のように、いつも同じ言葉を使うんじゃなくて、毎日違う言葉を言うんだ。
なぎさ:
食前のお祈りとかはしないの?
グスタフ:
僕の家ではしないよ。多分、キリスト教徒だけじゃないかな?
アレックス:
私の家では必ずするわ。
アズ:
僕の家はしないな。
なぎさ:
やっぱり、国によって食事のマナーとかは違うんだね。
アズ:
あ、マナーと言えば。麺を食べるとき音を立てるのは、多分日本だけだよ。
ジーンアン:
そうそう!私の国では麺は音を立てずに食べるわ。
アレックス:
私の国でも、音を立てて麺をすするのはマナー違反になるよ。
ジーンアン:
初めて見たときはびっくりしたな~(笑)。
Q3.日本に来てからはまった“もの”“こと”はありますか?
アズ:
僕は、サッカーの練習のときによく汗ふき用のウェットシートを使っていたよ。くぅぅ、キモチイイって。
アレックス:
日本に来てから、ハンカチって便利だなぁって思ったわ。カナダの人はハンカチなんて持ち歩かないの。手を洗った後は、ティッシュペーパーとかハンドドライヤーを使うわ。
りさ:
へぇ~、何か意外だなぁ。
アレックス:
あと、プリクラにはまったの!デジカメの写真と違っていつでも気軽に見れるし、持ち運びも楽なのよね。カナダに持って帰りたいわ!
アズ:
そうそう、「3,2,1!」ってカウントダウンしたり、ポーズを決めたりするのがイイよね。
みき:
日本での出来事を思い出せるよね。
グスタフ:
僕は夏祭りや花火が楽しかったなぁ・・・。東京の色んなお祭りを見たんだけど、どれもすごかったよ!スウェーデンには日本のようなお祭りはないんだよね。
ジーンアン:
私はグスタフとは逆で、冬にはまったかな・・・・。マレーシアは1年中夏だから、初めて冬を体験したの。とてもいい季節だと思うわ!マレーシアに帰ったら、冬が恋しくなるかもね(笑)。
Q4.日本よりも自分の国のほうがいいな、と思ったことはありますか?
グスタフ:
日本の高校生は忙しすぎるってことかな。中学校の頃から忙しいみたいだね。学校はスウェーデンの方がいい。日本の学校は中学校の頃から忙しいみたい。勉強もEffective(魅力的)に思えなかったな。
ジーンアン:
私たちと比べると、勉強はしていないよね。
グスタフ:
そうそう。日本の高校生は一生懸命にやっているんだけど、忙しすぎて勉強時間が少ないから、効率が悪いんだよね。
なぎさ:
じゃあ、逆に日本のほうがいいって思ったこととかはある?
アレックス:
日本は電車がスゴイ!カナダはほとんどの人が車を使うから、鉄道は少なくて、カナダで地下鉄がある都市は、4つか5つかくらい。しかも目的地まで時間がかかるし。日本の新幹線は、東京から広島まで4時間半くらいで着いちゃうからすごいと思うわ!
グスタフ:
僕も、電車の技術は日本が世界一だと思うな。
アレックス:
新幹線は、速いのに、とても静かだよね。
アズ:
日本は物価が高いよね。タイは物価が安いから、暮らすとしたらタイの方がいいかも…。それから、日本は規律とかが厳しいよね。やるべきことはちゃんとやるとか、さぼっちゃいけないとか。日本人はまじめだよね。
りさ:
日本人はタイ人よりまじめなの?
アズ:
うん。タイ人は結構テキトー(笑)。
一同:
(笑)。
アズ:
まじめなのはいいことだと思うな。例えば、僕の学校の野球部は、甲子園に向けて毎日一生懸命に練習しているんだけど、甲子園に出場なんてかなり難しいよね。タイ人は無理だと思ったことに関しては努力しないから、日本の野球部の様子を見たらびっくりすると思うな。
ジーンアン:
マレーシアは、日本より家族の家事分担がしっかりしているの。マレーシアは、家事をするのはお母さんだけじゃなくて、みんなちゃんとお手伝いするわ。日本人の家族は家の家事をお母さん任せにするから、ちょっとマレーシアを見習ったほうがいいかも。逆に、日本人の良いところは、怒っていてもすぐに表情や言動に出さないところかな。マレーシアの人達は怒っているとすぐに顔に出たりするわ。
アズ:
でもさ、逆にこれって怖くない?
ジーンアン:
う~ん、ちょっと怖いかも。怒っているのに笑顔だったら尚更だよね。
アズ:
タテマエ、みたいな。
一同:
タテマエ(笑)。
ジーンアン:
マレーシアの人はストレートに自分の気持ちを表すけど、日本人は、本当の感情が分からないよね。
グスタフ:
でも、スウェーデンの人もそんな感じだよ。気持ちはあまり出さないよ。文句も言わないし。
アズ:
こわっ!(笑)。
グスタフ:
話は変わるけど、日本人はチームワークがいいよね。
アズ:
うんうん!僕の部活もチームワークを一番に考えているよ。
グスタフ:
スウェーデンの人は自己中心的な人が多いから、日本のチームワークを見習ったほうがいいかもしれないな。
Q5.好きな日本の言葉は何ですか?
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