立命館アジア太平洋大学(以下、APU)は、3つの「50」、すなわち、国際学生(受入留学生)の割合が50%、学生の出身地・地域が50か国・地域以上、教員の外国籍比率が50%という目標に掲げ、2000年4月に開学しました。当時の大学の受入留学生の割合は、3%程度でしたから、大きな挑戦でした。受入留学生の国籍も、日本への留学生が多い中国や韓国に偏るのではなく、多様化を目指しました。
そして、現在、APUでは、世界80の国・地域から集まる国際学生が学生の半数を占め、教員も約半数が外国籍という多文化・多言語のキャンパスを創造しています。
「英語で学べる」言語運用能力を育成する二言語教育システム
APUのキャンパスは日本語と英語が公用語で、学部講義のおよそ80%は日英二言語で開講しており、これがAPUの特徴の一つとなっています。
1年生、2年生では、各学生の入学基準言語(英語または日本語)で教養科目を受講しながら、同時に集中的に言語の学習に取り組みます。3年生、4年生では日本語と英語のいずれの言語でも専門科目の授業を受けることが出来る言語運用能力の習得を目指しています。卒業要件124単位中、教養科目または専門教育科目から、英語開講の科目を20単位以上取得することを必須としています。
授業は、英語習得レベルごとのクラス編成で行われ、英語の力をスキル別かつ総合的に伸ばすようなカリキュラムになっています。入学時のプレイスメントテストによって「英語スタンダードトラック(24単位必修)」と「英語アドバンストトラック(12単位必修)」に分かれ、各自の英語力にあわせて伸ばす工夫がなされています。さらに高度な英語力の習得をめざす学生には、英語ビジネス・ライティングや英語ビジネス・プレゼンテーションなど上級レベルの英語を選択科目として設置しています。
国際教育寮での学びと気づき
1310室の国際教育寮APハウスでは、新入留学生と約300名の国内学生(日本人学生)が共同生活を営み、日々の生活と相互交流を通して異文化理解が育まれています。
国内学生と国際学生が共同生活を行う国際教育寮(APハウス)には、世界56ヵ国・地域から約1,300名の寮生が生活しています。シェアタイプと呼ばれる居室では、国内学生と国際学生の居室が隣同士になっており、部屋の真ん中の仕切りを開放すると双方の部屋を自由に行き来できます。
国際教育寮(APハウス)で世話係を担当する学生(RA:レジデント・アシスタント)は、半年ごとに募集し、書類と面接による選考で決定しています。任期は1年間で、奨学金として月額2万円を支給しています。各国の学生からの相談やクレームに対応する経験が蓄積されることから、そのような学生(国内学生・国際学生)を対象とした企業のリクルーティング活動も見られているほどです。
国際的な企業のトップや各界のリーダーを招く
様々な企業や機関で活躍しているビジネスマンを招いた協力講座を開講。また、国際的な企業のトップや各界のリーダーを講師に招き、世界の政治や経済、国際社会の現状や将来の展望、さらには社会が求める人材などについての講演を定期的に行っています。
就職活動支援の大きな柱として、「オンキャンパス・リクルーティング」を実施。これは、全国の企業や団体がAPUの学生を採用するために、来学し、会社説明会や筆記試験、面接を学内で行う独自のシステムです。数百社の企業が来学し、多くの採用につながっています。
また企業のグローバル社員研修の一環として、若手・中堅社員をAPUに短期留学(2ヶ月~4ヶ月)させるプログラムもあります。社員はAPハウスで国際学生とともに生活し、英語で開講される科目を履修し、多文化理解と英語力、コミュニケーション力を集中的に高めています。社会人学生がともに学び暮らすことはキャンパスの多様化にも貢献しています。
秋入学とクォーター制
大学のグローバル化への対応として「秋入学」が話題ですが、APU では開学当時から春入学・秋入学の両方に対応しています。海外では秋入学が主流ですが、韓国、ブラジル、インド、タイなどは春の方が入学しやすく、世界中から学生を集めるための柔軟なシステムとなっています。
また、クォーター制(4学期)を導入しています。講義科目はクォーター(2ヶ月)を単位として完結するように設計されており、学生は同じ科目の授業を週に2 回受講します。この間に中間試験や期末試験などがあり、「山場」が多いため学生は勉強せざるを得ません。2ヶ月を学びの単位とすることで、短期留学や就職活動などにも対応しやすく、海外からの短期留学生の受け入れにも適した仕組みです。
海外経験を通じて学生を育成する
APUは、世界61カ国・地域、410の大学・研究機関(2011年1月1日現在)と協力協定を締結。長期休暇を利用した海外言語研修や、世界中の協定大学への交換留学(交換協定は114大学と締結)など、学びの舞台は世界へ広がっています。
ユニークなのは、1年生向けの短期間の異文化体験プログラム「FIRST」。クォーターブレイク(学期と学期の間の短い休み期間)を活用、期間は4~5日間で、現地に到着してから行き先を知らせる方法を取り、学生は、少人数のグループ別にルートの確保、宿舎の確保等を行います。道中で、地域の方へのヒアリング調査を実施し、目的地に到着後、現地大学生への発表と討論を行い、最終的に単位認定がなされるプログラムです。これまで韓国・香港・台湾でグループ活動による文化・社会調査を実施してきました(2011年度は韓国に155人の1年生を派遣)。
○所在地 大分県別府市
○設立年 2000年4月
○学部学科構成
アジア太平洋学部 |
国際経営学部 |
|
学生数 |
外国人 教員比率 |
英語(語学)授業の 1クラス当たりの人数 |
英語による 専門科目率 |
アジア太平洋学部 |
2803名 |
約49% |
約20名 |
100% |
国際経営学部 |
2944名 |
約44% |
約20名 |
100% |
○留学データ など
・APUの海外交換留学は現地の学生とともに専門レベルの科目を履修することを目的としたプログラムで、APUと学生交換協定を締結している大学へ、半年もしくは1年間留学する制度です。
(http://www.apu.ac.jp/home/exchange/index.php?content_id=21)
・2012年度進路就職状況
http://www.apu.ac.jp/careers/page/content0080.html
APUホームページ
http://www.apu.ac.jp/home/
在学生向けウェブサイト "FAFA"
http://www.apu.ac.jp/spa/
APUグローバル人材育成推進事業の公式ウェブサイト
http://www.apu-global.com/
留学・海外学習プログラム一覧
http://www.apu.ac.jp/home/exchange/index.php?content_id=15
今、世界は混沌の中にあります。あえて厳しいことを言えば、この世界で生きることは決して甘くありません。日本人が海外の人たちと対等に対話をするには、英語のスキルをはじめ、自らを鍛えることが必須であると知っておくべきです。
グローバル化している世界で生き抜くためには、英語+1の「多言語スキル」、日本人に意外に養われていない「異文化理解」、世界を見るための「価値観」が必要です。この3つを鍛えた者は、自分の道を見つけ、生き抜くことができます。
世界中から留学生が集う本学は、キャンパスそのものが、多言語・多文化の環境。キャンパス内で国境を超え、自分が何者であるか再認識できます。グローバルな世界で生き抜くために、自分を鍛える理想的な場です。
どんなに厳しい世界でも、自分を鍛えることで、混沌の中に光明を見いだすことができます。みなさんがどのような世界をつくるかによって、世界は変わります。未来は、あなたのものなのです。